薬局で患者さんに薬を渡す姿を見て薬剤師になりたい、と思ったことはありませんか?
でも、「薬剤師になりたいけど、社会人からでは遅いのでは?」と思ってしまいますよね。薬剤師を目指す社会人が不安を募らせている場面を実際に見かけます。
社会人でも大学の薬学部に入学し国家試験に合格すれば薬剤師になれます。ただし大学で膨大な勉強量をこなし、高額な学費を支払うことが必要です。
本記事では、社会人が薬剤師になるために必要なことを薬剤師である筆者の経験や実際の体験談を交えて詳しく解説します。
社会人が薬剤師になるための流れ
社会人が薬剤師になるにはまず大学の薬学部(6年制)を卒業して受験資格をとることが必須です。そのうえで薬剤師国家試験に合格する必要があります。宅建士や行政書士のような独学での受験はできません。
大学に入学する
大学入学には、おもに以下の2つの方法があります。
- 一般入試を受ける:現役高校生と同様に一般入試を受験します。試験科目は英語・数学・理科の3科目で、高校の勉強のやり直しが必要です。
- 編入学試験を受ける:筆記試験に加え、小論文や面接試験などがあります。ただし編入学の募集人数は多くの大学が若干名と表現しており、非常に狭き門です。
卒業認定を受ける
薬学部で必要な単位を履修し卒業または卒業見込みの認定を受けることで、初めて薬剤師国家試験の受験資格を得ることができます。
国家試験に合格する
薬剤師国家試験の合格率は毎年約68%です。相対評価のため、年によってボーダーラインが違います。
薬学部の現実:必要な費用・時間・体験談
勉強時間の実態
薬学部では「薬学教育モデル・コア・カリキュラム」に基づき、6年間かけて薬剤師に必要な知識と技術を身に付けます。
具体的な一日のスケジュールは午前中に座学、午後に実習です。実習は少なくとも18時頃までかかります。レポート作成に時間がかかる場合はそれ以上です。20時頃までじっくり取り組むこともあります。これが日常となるため、働きながらの勉強は現実的ではありません。
学費について
私立大学の場合年間200~250万円程度かかり、6年間で1,200~1,500万円が必要です。一方、国立大学では年間50~60万円(入学金約30万円別途)で、6年間で約400万円となります。
編入学の場合は1~2年短縮できるためその分費用負担は軽減されます。
40代で薬剤師になった同級生の実体験
筆者の同級生に、40代で社会人編入試験を受けた学生がいました。面接では「その歳で勉強についていける自信はあるか」「なぜ今になって薬剤師を目指すのか」といった厳しい質問をされたそうです。彼は薬剤師になりたい明確な理由を軸に返答し、見事合格を果たしました。
その後もストレートで進級し、国家試験にも一発で合格しています。勉強方法として、学習内容を音声録音し通学時に聞き流すなど、独自の工夫を重ねていたようです。在学中は一切働かず、勉強に専念していたとのことでした。
勉強時間を確保しつつ、仲間との接点も大切にされていたようです。
ほかの学生はほとんどが20代でしたが、彼は積極的に交流していました。
まとめ
社会人からでも薬剤師を目指せますが、勉強時間を確保するため仕事をやめる覚悟と6年間で数百万円から1,000万円以上の費用が必要です。
これを理解したうえで次は薬剤師の資格がとれる大学を調べてみましょう。編入学を検討される方は編入学試験を行っている大学に絞ってください。
本気で薬剤師を目指したい方が、いつか薬剤師として社会で活躍できる日が来ることを心から願っています。