薬のプロフェッショナルとして、調剤・医薬品の提供などに携わることができる薬剤師資格は、人気の高い国家資格の一つです。薬剤師資格とは、資格保持者だけが独占的に業務を行なうことができる、いわゆる業務独占資格です。また、名称独占資格でもあり、資格保持者以外はその資格名を名乗ることはできません。
薬剤師資格がなければできない業務には、調剤業務・薬局管理者・第一医薬品の販売者・医薬品製造販売業の総括製造販売責任者・学校薬剤師などがあります。
就職先は、病院・薬局・製薬会社・公的機関など幅広く、専門性を活かして起業・開業する道もあります。薬剤師の活躍の場は多いがゆえに、自分にはどのような働き方が合っているのかと迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。以下では、昨今の薬剤師の就職先の割合や、キャリアアップの方法について詳しく紹介します。
薬剤師資格を活かした就職先
厚労省による2022年の医師・歯科医師・薬剤師統計の概況によると、日本全国に在籍する薬剤師の資格保持者は323,690人で、前年比で約0.5%の上昇を示しています。
以下は、同統計で導かれた薬剤師が従事する施設・業務種別の割合です。
◇薬局の従事者:58.9%
◇医療施設の従事者:19.3%
◇医薬品関係起業の従事者:11.5%
◇衛生行政機関または保健衛生施設の従事者:2.1%
◇大学の従事者:1.5%
◇介護保険施設の従事者:0.3%
◇その他:6.3%
上記のデータからわかるように、薬剤師の大多数が独占業務である調剤(医師から発行された処方箋に基づき、医薬品を交付すること)に携わっています。ただ今後はAIの導入や機械化、法改正などによって薬の処方形態そのものが見直されていく可能性もあり、時代に合わせて薬剤師の業務内容は変化していくでしょう。
薬剤師のキャリアアップに役立つ資格
薬剤師としてキャリアアップや収入アップを目指すなら、プラスアルファの資格取得が有効です。興味のある領域や、どのような業務に従事したいかなどを踏まえたうえでダブルライセンスを取得し、理想のキャリアを実現しましょう。
以下は、キャリアアップ・収入アップに有効な資格の一部です。
◇日本病院薬剤師会が認定する専門性を磨く資格
- 認定薬剤師
- 専門薬剤師
◇職場での役割を増やせる資格
- 研修認定薬剤師
- 認定実務実習指導薬剤師
- スポーツファーマシスト など
◇在宅医療の現場で活きる資格
- ケアマネージャー
- 日本褥瘡学会認定士
- 在宅療養支援認定薬剤師 など
まとめ
近年では、身近な健康の相談役として「かかりつけ薬剤師」を持つことが推奨されるようになり、薬剤師の仕事は対物業務から対人業務へと変化しています。主な対人業務は、処方内容のチェック・処方提案調剤時の情報提供・服薬指導・調剤後の継続的な服薬指導および服薬状況の把握です。
これからの時代の薬剤師は、独占業務に加えて地域住民の健康を支えていく役割も担うことが求められるため、自ら常に自己研鑽に勤め、専門性を高めていく必要がありそうです。
また、薬剤師に求められるスキルは多様化・細分化しているので、社会変化や診療報酬の改定、薬機法の改正状況など、常にアンテナを張って情報収集を行ない、就職先を選ぶ判断材料にすることをおすすめします。